「オクラ」と「オクラの汗」
最近、スーパーや八百屋でよく見かけるオクラって、実は見た目以上に面白い野菜なんです。小さい緑色のトゲトゲした形をしていて、手に取るとちょっと不思議な感触がありますよね。オクラはアオイ科の植物で、熱帯アジアが原産と言われています。日本では夏の代表的な野菜で、ネバネバした食感が特徴的です。実はこのネバネバ、栄養価も高くて、食物繊維やカリウム、ビタミンC、カルシウムまで含まれているんです。夏バテしやすい時期にはぴったりの野菜と言えるでしょう。
調理法も色々で、軽く茹でたり、刻んでサラダに入れたり、冷やし中華のトッピングにしたりと、食卓に彩りを添えてくれます。あの独特のぬめり感は「ペクチン」という成分によるもので、消化を助ける働きもあるんですよ。だから、胃腸に優しい野菜としても知られています。
ところで、オクラには面白い性質がもうひとつあります。それが「オクラの汗」と呼ばれる現象です。オクラの実を切ったり触ったりすると、表面に小さな水滴のようなものが出てくることがあります。まるでオクラが自分の体を潤しているかのようで、見た目にも可愛らしいですよね。
この「汗」の正体は実際には水分で、植物が持つ細胞内の水が表面ににじみ出たものです。オクラに限らず野菜の多くは、水分を含んでいるため、切ったり摩擦を加えると少しずつ水分が出てくるんです。でも、オクラの場合はネバネバ成分のペクチンと一緒に出てくるので、特に目立つんですね。だから「オクラの汗」と呼ばれることがあります。
この現象、実はオクラが新鮮である証拠でもあります。汗のように水分が出てくるオクラは、生き生きとした水分をたっぷり含んでいる状態なので、料理に使うと食感や風味も良いんです。逆に、水分が少なかったり、しおれているオクラはあまりネバネバも出ず、少し味も落ちます。スーパーでオクラを選ぶ時、トゲがピンとしていて少し汗をかいているくらいのものが新鮮だと思ってもらえると間違いありません。
それから、オクラの汗は調理にも役立ちます。刻んでご飯に混ぜたり、味噌汁に入れたりすると、この水分とムチンが他の食材とも馴染んで、とろっとした食感を作り出してくれます。意外と知られていませんが、オクラの汗は栄養や食感を支える大事な存在なんですね。
ですから、次にオクラを手にした時は、ただ緑のトゲトゲした野菜だと思わずに、ちょっと観察してみてください。小さな水滴が表面に浮かんでいたら、それはオクラが元気に育ってきた証拠ですし、料理に使うときの楽しみも増えます。オクラは見た目も触感も楽しい、そして健康にも優しい野菜です。汗をかくオクラをじっくり味わいながら、夏の食卓をちょっと特別にしてみてくださいね。
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